私が米国で思う事。

執筆者
大賀嘉信(和光純薬工業株式会社)
留学先
米国カリフォルニア州アーバイン

私が、会社の転勤にて米国カリフォルニア州アーバインに赴任したのは2004年の6月の事でした。私共試薬会社は、国内で試薬やキットを開発・製造しているものの、ライフサイエンス分野に関しては、海外、特に米国から来る試薬も多く、この様な米国のメーカーと新製品開発の為のコラボレイト先を探す、また逆に我々の商品を米国のより多くの研究者に売りこむ事が私の当初の任務でした。実際米国に来た当事は何も知らずただ「アメリカだぜ!」と一人国際人にでもなった感覚で勘違いをしていましたが、直ぐに大きな壁にぶつかる事になりました。

まずは一般の生活です。日本と違い本当に主張しないと何にもしてくれません。よく医療費等の請求書で、間違った請求書が送られてきますが、「これはおかしいだろ!」と送られて来た先と戦わないと、先方の担当者は、「言われたから請求書を送っただけで、私は知らない」など平気で言われます。出張でよく飛行機も使いましたが、頻繁に遅れ、その結果乗り継ぎ便に乗れなかったりしますが、その時も黙っていては、係員は何もしてくれないので、係員と戦って、自分で何とか他の飛行機の席を確保しなくてはなりません。そうアメリカは戦わないと生きていけないといった感じです。

次に人種の壁です。当初私は、日本人は米国である程度リスペクトされていると思っていました。車や電化製品など多くの日本のブランドが世界を席巻して、日本では外国人は日本人を勤勉だと評価している等ニュースや新聞で見ていましたので勘違いをしていた様です。ですので、私の会社の様に日本では多くの方に知られている会社でも、アメリカで全く無名な会社は、相手にされないどころか、Second Citizenの様にさえ見られる事もしばしばでした。

やはり残念ながら白人社会、そして自由な国だと言いながら、有る程度は実力主義で上にあがれるものの、さらにその上は特別な社会が有る様です。また実力主義の自由な国と言っておきながら日本以上に階級社会の様です。確かに私の米国法人の会社でも昇進は学歴と資格等の肩書きが大きく、逆に大学を出ていない人等は、仕事が出来ても昇進は殆ど出来ません。

他には、米国人の性格(!?)です。米国人はビジネスについて一見とてもフレンドリーの様に思え、何か直ぐに溶け込みそうな感じがします。しかしそれは上辺だけで、違う分野の人ならまだしも、同じ分野で特に同業社に対しては、さすがに表では行いませんが、それ以外では徹底的に露骨に潰しに来ます。よくCMで、日本と違い競合他社をダメだと社名を具体的に出しますが、始めは驚きもありましたが、今では、未だましの方だと思います。

この様な中、企業の意識の違いそしてスケールの違いにも驚かされました。よく不景気等で会社の業績が落ちると、リストラが始まりますが、日本の場合は、リストラを行った後、残った経営者や管理職の給与も少なくなるのが普通ですが、米国は経営者が自分の給与を下げない様にする為に、下の人間を切り、また会社に残って欲しい有望な人が会社を辞めないようにする為には給与を増やさないといけないので下の人間を切ってその分をその有望な人の給与にオンする様です。またその様な有望な人にどうしても転勤してもらいたい時、その人が家を持っていて転勤できない場合は、企業がその人の家を買ってあげるそうです。やはり、スケールが違います。

この様な経験の中、結局米国に来て思ったのは、これは実際米国経験者皆さんが思うと思いますが、米国では戦わないと生きていけない、そしてユニークでないと駄目なにではないかという事です。人としても、企業としても、同じ事や真似をするので無く、やはりユニークでないと何時までもSecond Citizenで終わってしまう様な感じがします。

何かネガティブな事が多くなってしまいましたが、やはりアメリカは気候も違えば、スケールも日本と違います。私は壁も多くありましたが、個人的にはまたチャンスがあれば是非行きたいと思っています。

2014/09/19

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執筆者紹介
大賀さんは長いことアメリカに赴任されており、私も在米中はアメリカ文化、行政システムの手続きなど色々と教えて頂きました。また企業から見たサイエンスというものも視点が違い、いつも面白くお話を聞いています。(本間 耕平)
編集後記
大賀さんは和光純薬工業株式会社より米国に渡り、開発・学術・営業と多面的に米国社会を肌で感じておられました。留学がそれまでの海外旅行での体験と全く違い、すべてのことが新しく、また始めの頃は全ての瞬間において対面する新しいイベントに緊張しきりなのは海外生活経験のない日本人にとって共通なのではないでしょうか。様々な精神的なハードルと一生懸命飛び越え、新しい社会を受入れる部分と、自分自身の生活スタイルを大切にする部分のバランスを取ることが留学生活を楽しみ、異文化をじっくり観察できる秘訣のような気がします。
編集者
谷内江 望
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