西海岸で紡いだ“人と人”の繋がり

執筆者
西野精治(スタンフォード大学医学部精神科教授、SCNLab所長)
留学先
スタンフォード大学

私は1982年大阪医科大学を卒業後、2年の研修医を経て1984年4月より母校の大学院へ進学しました。ちょうど同じ時期に京都大学生理学教室教授を定年退官された非常に著名であられる早石修先生が母校の学長に来てくださる事となりました。同時期、ERATOの睡眠プロジェクト研究所の1つが大阪医科大学内に設置され精神科の堺教授に勧められそのプロジェクトに参加させていただく事になりました。これが私の研究者生活の始まりです。

その後大学院4年の秋にERATOの睡眠プロジェクトがスタンフォード大学と共同研究を始める事となり本人の希望ではなくプロジェクトリーダーからの推薦という事で突然visiting scholar としてスタンフォード大学へと留学する事になりました。アメリカに着いたのは1987年9月18日です。
その時すでに結婚しており3歳半になる息子もいました。

スタンフォード大学は総合大学でコンピューターサイエンスをはじめ、経済、政治、心理学、など幅広い分野の方等が同じキャンパスで学んでいます。また、大学内には日本人研究者、留学者の親睦と情報交換の為に立ち上げられたスタンフォード日本人会というものもあります。

私の妻はこのスタンフォード日本人会の幹事となり私達より後から渡米された方達のお世話を献身的によくしていました。その時は自分達が知っている事を後から来られた方に伝承するつもりだけだったのですが、振り返ると大変よい人脈作りとなっていました。

現在専門的に研究してきた事の社会還元として企業の方とのお付き合いが増えて来ていますが(医療関連のビジネスがここ数年急にホットになってきている気がします)日本人会を通してお世話させていただいた方達、また一緒に幹事をした人達の繋がりが仕事に活きています。

実は妻と私は大阪教育大附属天王寺高校の出身で同窓会活動が非常に活発な学校です。1994年に同窓会の北米支部を立ち上げ、第1回の北米支部同窓会をPalo Altoにある自宅で開催した際、UCSF留学中だった山中伸弥先生が来てくださった事もありました。それから10年後の2004年のiPS細胞の論文発表では自分の事のように嬉しく思いました。

上記のように自分の意思でアメリカ留学を決めた訳でもなく、留学先をスタンフォードと決めた訳ではありませんでしたが、西海岸独特の自由な雰囲気で非常に研究はやりやすかったです。

私の研究室はNIHから研究費がおりていて日本からの研究資金はいただいておりません。しかしお世話になった日本の事、日本人の事はいつも心の中にあり積極的に日本人研究者を受け入れて来ています。過去に留学に来ていただいた方達の所属先を以下に示しておきます。

秋田大学、東京医科歯科大学、北海道大学、山形大学、岐阜大学、徳島大学、東京慈恵会医科大学、大阪医科大学、久留米大学、金沢医科大学、旭川医科大学、産業医科大学、自治医科大学、名古屋大学、愛知医科大学、東京歯科大学、千葉大学、国際基督教大学、大阪大学、京都大学、慶應義塾大学、島根医科大学、鹿児島大学(順不同)

ラボの見学などは予定が合えばいつでもOKですので遠慮なく連絡してきてください。自由の風が吹くというのがスタンフォードのモットーです。学生も教授も同じレベルで意見を出し合える、そういう風が常にキャンパスには吹いています。ぜひスタンフォードを訪問してください。

2015/10/19

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編集後記
ご留学された経緯そして、スタンフォード大学での人を助け繋げる素晴らしいご活動について、伝わって参りました。留学先にコミュニティーがない場合でも、ご自身で立ち上げられ、人との繋がりを築きともに助け合っていけることが、大変印象に残りました。西野先生、ご寄稿有り難うございます。
編集者
Atsuo Sasaki
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