留学のススメ

執筆者
河﨑 洋志(金沢大学医学系)
留学先
Lawrence Katz Lab@Howard Hughes Medical Institute/Duke University, USA

私が留学していたのは2002年から2004年にかけての約2年半、米国Duke大学で研究をしました。9・11直後で騒然とした世情の中、「米国に行って大丈夫か?」との声もありましたが、生来楽観的な(鈍いだけ?!)の私は気にせず渡米しました。

先に簡単に自己紹介をさせて頂きますと、大学院時代には神経細胞におけるMAPキナーゼファミリーの機能解析、大学院卒業後はES細胞からドーパミン作動性神経細胞への試験管内分化誘導法の開発を行いました。留学中にはフェレット脳神経系の解析を行い、この研究は現在も続けています。現在は二つのプロジェクトを主に動かしており、一つは高等哺乳動物フェレットの脳神経系の形成過程解析、二つ目は脳神経系の発達過程における環境要因の重要性の解析です。

留学時にはいくつかの問題意識を持って渡米しました。きちんと仕事をすることや良い仲間を得ることなどはもちろんですが、米国での研究を実際に自分の目で見てくることも目的意識の一つでした。留学前には、米国という別世界があり恐ろしく優秀な人が激しく研究を推進している、また米国と日本との研究の違いはオリジナリティの有無ではないかなどと思っており、そのあたりを実体験したいと思っていました。やはり自分の目と耳と体で感じるものは伝聞には代えがたいものがありました。留学期間中に感じたことは、その後に大きな影響を与えていると思います。

もう一つは、独立できたとするならばその後に研究室を運営するための準備です。多くの要素が必要となると思います。まずは研究の将来的な方向性を考えることでした。大学院生時代に学会に行きますと非常に多くの人が多彩な演題を出しています。すべての研究テーマは誰かがやっていて、自分のつけ込む余地はないのではないかとも感じていました。自分の進む方向性を多くの人と議論し考えました。それ以外にも、知識、論理思考、発想、プレゼン、英語など各要素がありますので、それぞれの要素を個別にトレーニングすることが大事だと思いました。留学中には、これらをトレーニングするための自分に適した方法論を考えることにも時間を使いました。

とりとめのない文章で申し訳ありませんが、結論としては留学して本当に良かったと思っています。多くのことを感じ、多くのことを考えることができました。留学中はもちろんのこと、これまでには非常に多くの方々からの暖かい手助けに支えて頂きました。留学中にはそのような人の繋がりの有り難さも身に浸みて感じました。

略歴:

平成2年  京都大学医学部医学科卒

平成10年 京都大学大学院医学研究科卒

平成10年 京都大学大学院理学研究科・日本学術振興会特別研究員

平成10年 京都大学再生医科学研究所・助手

平成14年 Howard Hughes Medical Institute / Duke University・研究員

平成16年 東京大学大学院医学系研究科・特任助教授

平成18年 科学技術振興機構・さきがけ研究員(兼任)

平成25年 金沢大学医薬保健研究域医学系・教授

ホームページ:http://square.umin.ac.jp/top/kawasaki/

コメント:

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2015/04/19

関連タグ
帰国編
留学のすゝめ!
編集後記
河崎先生は高い目的意識をもって留学され、的確に自分が受けるべきトレーニングを考え、帰国して独立された成功例ではないでしょうか。みんながこのように上手く留学できるわけではありませんが、誰にとっても、留学前から自分がどのような目的や意識をもって留学するのか、どのようなスキルを身に付けたいのか、明確にしておくことは留学生活をより豊かにする秘訣ではないでしょうか。
編集者
谷内江 望
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