留学に「ついていく」のすゝめ!

執筆者
中山 真樹
留学先
ビクターチャン心臓病研究所(オーストラリア)

主人の研究留学のためにオーストラリアのシドニーに来て、早いもので1年10ヶ月が過ぎました。現在はこの生活を満喫していますが、ここに至るまでいろいろなことがありました。

以前から主人に「今後も研究者としてやっていく上で、海外での研究経験は必須だ」と聞かされていました。それがいつなのかはあまり考えずに、日本でのんびり過ごしていた2012年の秋、いよいよシドニーに行くことが正式に決まりました。その頃の自分は当時の生活環境にすっかり慣れ、それなりに充実した時間を過ごしていましたので大変戸惑いました。実は、私はこちらに来るまでほぼ海外経験ゼロで、さらに学生を終えてから英語の勉強はほとんどしていませんでした。そんな状況でしたので海外生活は想像もつかず、ただ不安しかありませんでした。現実的にも「自分の仕事はどうするのか」「渡航の費用はどうするのか」「日本での生活拠点をどうするのか」「年金は?保険は?郵便物は?銀行は?」などなど考えなければならないことが山積みでした。そのため当初は「どうしても一緒に行きたくない」と主人に抵抗していました。何より高齢の祖母に「行かないで欲しい」と言われたことが辛かったです。

そんな中、一度今の研究所へ見学に訪れているのですが、正直その当時の印象は良いものではありませんでした。日本に比べて物価・特に家賃がとても高い、研究所のロケーションが治安の良いところではない(歓楽街近く)などなど。一緒について行って主人の研究を傍で支えなければならないとは考えるものの、そのような状況でしたので自分の中で大きな葛藤がありました。でも最終的には
・主人「家計を2つにするのは無駄。英語は向こうで勉強すればいいじゃないか。」
・友人「若いうちにいろいろ経験したほうが良い!」
・来豪経験のある知り合いの先生「オーストラリアは一生住みたいと思うほど素晴らしい国だった。一度行ってから考えてはどうか。」
・親「夫婦は離れて生活すべきでない。」
といった厳しいような温かいような後押しと説得に負け、結局シドニー行きを決めました。渡航に関係する諸々の作業は、一足先に渡航した主人や周囲の協力を得ながら一つ一つ解決していきました。ひとり成田からシドニーに向かう飛行機の中でめそめそ泣き、隣の席の女性に励ましてもらったことを昨日のように思い出します。

シドニーに来た当初は見るもの全てが新しく、もちろん周りはオーストラリア人ばかり。英語も自信がないので買い物をするのも億劫……初めの2週間はほとんど家に引きこもっていたのを覚えています。このままではいけない!と思い直し、出来ることから始めようと趣味のランニングを再開しました。思い切って地元のランニングクラブに顔を出し、拙い英語ながらいろいろな人に話しかけました。その時に知り合った友人には今でもとても良くしてもらっています。

その後主人と一緒にいろいろなコミュニティに顔を出すようにした結果、数多くの素敵な出会いに恵まれました。その年が明けた頃にはたくさんの友達が出来て、シドニーでの生活もすっかり楽しくなっていました。住めば都、とはよく言ったものです。

現在は主人と同じ研究所で働いています。日本人PIの先生のもとでの1ヶ月間の研修を経て、その後リサーチアシスタントとして働かせていただくことになりました。日本に住んでいた際に研究機関に勤務していたことはありましたが、まったくの異分野でしたし、英語も拙いため最初はたいへん戸惑いました。ゼロからのスタートでしたが、研究室内外の皆さんに親切に教えていただき、おかげさまで何とかやっています。

オーストラリアではライフワークバランスが確立していて、仕事のオンとオフをはっきり分けている印象を受けます。日本にいたときに比べ、主人が帰宅する時間が早いため家で一緒に過ごす時間が長くなりました。こちらに来て日々のいろいろな出来事を話す時間が増えたのはお互いにとって良いことだと思っています。

日本で準備しておくべきだったことは、やはり英語だと思います。仕事をするにはもちろん必須ですが、地元の友達とのおしゃべりが理解できないときはちょっと寂しい思いをしました。私は仕事を始めてから、決まった時間に学校に通うことができなくなったため、オンラインの英会話スクールを利用したり、休日に英語クラスを受けたりするなどしています。シドニーは語学学校のフリークラスや地域コミュニティで開講しているセカンドイングリッシュスピーカーのための講座など格安のものも数多くありますので、経済的にも助かりました。あとは趣味や職場の仲間と、出来るだけ英語での会話を楽しむように心がけています。

その国の環境に馴染むために一番大切なことは、いろいろなところに友達をつくることだと思います。私はどちらかといえば人見知りする性格ですが、シャイでよかったことはひとつもありません。遠慮せず自分からどんどん話しかけることが大切だと感じました。周りは皆親切にしてくれ、いつも助けてくれます。余談ですが、そのおかげで趣味がひとつ増えました。地元の友達に誘われて始めたカポエイラは、1年続けたら帯をいただくことができました。一緒に練習する素晴らしい仲間たちとの出会いが何よりの宝物です。

最後に。パートナーの方が海外に赴任することになり、もし悩まれている方がいらっしゃったら、新しい環境に一度飛び込んでみてはいかがでしょうか。留学に際して直面する問題はご家庭によって異なると思いますが、家族でよく話し合って協力し合うことが何より大切だと痛感しています。またどの都市にも現地の日本人コミュニティがありますので、そのようなところで生活についての情報共有が出来ると思います。よい機会だと思って、一度行ってみることを強くおすすめします。

2015/09/17

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編集後記
中山真樹さんには、旦那様の中山義敬さんからのご紹介で今回ご寄稿いただきました。渡航を決断された経緯や、渡航後の生活について、読みやすく丁寧に描かれています。
パートナーの留学が決まって、一緒についていこうか悩んでいる方にぜひ読んでもらいたい内容になっています。
編集者
小藤香織
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