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【COVID-19クライシス#12】金城 智章(日本 / アメリカ・ノースカロライナ大学)

更新日:2021年2月14日

執筆者:金城 智章 執筆日:2020年5月4日 国名:日本 / アメリカ 所属:ノースカロライナ大学チャペルヒル校 トピック:留学準備

doi: 10.34536/covid19-013


本年度より米国のThe University of North Carolina at Chapel HillのBrian Kuhlman研究室に博士研究員として留学しております、金城智章と申します。この度、新型コロナウイルスの留学への影響をシェアするということでUJA編集部からお声がけをいただき、寄稿させていただくことになりました。まだ留学が始まったばかりで自分自身も手探りの状況ではありますが、何か役に立つ情報がありましたら幸いです。

さて、冒頭で留学していると書きましたが、実際には私は5月の時点でまだ米国に入国できておりません。順を追って状況を説明したいと思います。昨年の7月頃に同研究室に研究員として採用していただけることが決まり、本年度4月の留学開始を目指して昨年10月頃から雇用契約などを進めておりました。ご多分に漏れず大学からのDS-2019がなかなか届かずに苦労しましたが、最終的に留学先のボスに直接メールをして事務に急いでもらうように頼んでもらったところ、あっという間にDS-2019が届きました。話には聞いておりましたが、向こうではしっかり主張しないといろいろ後回しにされてしまうということを実感しました。留学ギリギリになってしまったものの、何とか2月末にビザの面接を終え、無事にビザを取得することができました。平行して米国での住居や医療保険などの手続きも済ませ、これで一安心と思っていたのですが、このあたりから段々雲行きが変わり始めました。2月頭にはあまり感染者が報告されていなかった米国でも、3月に入ると検査数が増えたこともあってか感染者数が爆発的に増加し、留学先のノースカロライナ州でも非常事態宣言が発令されました。ビザは停止されていなかったので、ひとまず入国してしばらく自宅待機かと考えていたところ、渡米直前になって、大学から全留学生の受け入れを9月まで延期するとのアナウンスがありました。留学先のボスと相談したところ、既に現地でも大学および研究所はほぼ全て閉鎖状態で、研究室もリモートワークに移行しているため、私も日本からリモートで参加してはどうかと提案を受けました。留学が延期になってしまうと4月から行くところがなくなってしまうのではないかという焦りもあり、二つ返事でリモートワークを決めました。幸い留学先での研究内容は、コンピュータを用いたタンパク質設計だったこともあり、VPN(Virtual Private Network)を通じて大学のスパコンにアクセスし、シミュレーションを行うところから研究をスタートしました。私自身新しい研究分野に飛び込むことになるので、リモートワークでどこまでできるか不安でしたが、Zoomをはじめとした最近のカンファレンスツールは非常によくできていて、リモートでもまるで対面で話しているかのようにディスカッションすることができ、研究室のメンバーにいろいろ教えてもらいながら、少しずつ研究を進めることができております。研究分野にかなり依存するかとは思いますが、もし可能なら状況が落ち着くまでリモートワークという選択肢も検討してみてもよいかもしれません。  

また、既に契約してしまっていた現地での住居やインフラについては、さすがに9月まで継続する余裕はないのですべて一旦解約しましたが、元々現地の日本人エージェントの方に契約や交渉をお願いしていたこともあり、多少のデポジットは必要だったものの、あまり交渉も難航せず比較的いい条件で解約することができました。平時であれば英語の勉強もかねて契約はすべて自力で済ませるという方もいらっしゃるかとは思いますが、本年度はコロナウイルスの影響で契約が色々と複雑になる可能性もありますので、現地に日本人のエージェントがいる場合は積極的に利用を検討してもよいかもしれません。 ビザの扱いや留学生の受け入れ時期も国や研究機関によって様々で、今後の見通しも立ちにくい中、なかなか万人に通用する対策も難しいかとは存じますが、色々な人と情報交換しながら、なんとかこの波を乗り越えていけたらと思います。本記事がどなたかの参考になれば幸いです。


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